自動車事例
■ 要約
ドイツの高級自動車メーカから、整備マニュアル、オーナーズマニュアルの翻訳をご依頼頂いた際に、ドイツ語、専門性、高品質というご要望を頂きました。このような課題を事前に調査、分析し、プロジェクト体制をつくりあげ、問題を解決しました。
■ 課題
- ドイツ語から直接日本語へ翻訳
- 多分野の知識
- 高級車に値する品質
- 日本ではあまり使われていない翻訳支援ツールの使用
- 頻繁なご発注への迅速な対応
■ ソリューション
- SMEをチームに組み込む
- 翻訳品質管理者を複数人設置
- 翻訳者の事前トレーニング
- 十印のヨーロッパ拠点と日本本社との連携
■ 結論
- 時差を感じさせない対応
- 他の言語にも同様の体制を構築、提供
- ドイツ語翻訳の実績蓄積
- 自動車分野での経験、知識の蓄積
■ 事例
ヨーロッパで開催された展示会で、ドイツの自動車メーカであるお客様から十印に、日本語のプロジェクトがあるが、興味はないかと引き合いがありました。お客様は今後日本を重点市場として捉えられており、予定されているモデルチェンジ車種だけでなく、新たに数車種の投入も計画をされていました。
直営の日本法人と、販売代理店がこのメーカの自動車の販売を行っており、販売代理店経由で翻訳会社が従来この翻訳を行っておりましたが、この戦略のために従来の翻訳会社以上の対応ができるところをさがしていらっしゃいました。
自動車には製造工程から、ユーザが利用するオーナーズマニュアルまで多くの翻訳を必要とする文章があります。そのなかでも、十印には整備マニュアルとオーナーズマニュアルを依頼したいという意向でした。
整備マニュアルは自動車のあらゆる分野の情報、知識が必要になります。機械工学、エンジン、電気、配線はもちろんのこと、空調、板金、塗装さらに最近ではカーナビゲーションや自動車搭載コンピュータの情報も網羅していなければいけません。
また、オーナーズマニュアルは、これらの知識に裏打ちされた適切な情報を盛り込む必要がありますが、なにより重要なことは、文章の表現のひとつひとつにも、高級車の代名詞であるこのメーカの自動車を所有するという満足感をオーナに与える品質を提供することでした。
一方、翻訳の工程は、お客様のより早い市場への投入というご要望を考え、原稿が書かれているドイツ語から、いったん英語に翻訳し(あるいはアメリカ市場の英語版を利用し)、日本語にするのではなく、ドイツ語から直接、日本語に翻訳するという方法をとることにいたしました。
お客様は翻訳の工程で、効率化をすすめるため、翻訳支援ツールを利用されていますがこれは非常に特殊な物であったため、日本ではほとんど使われておらず、使用経験のあるドイツ語翻訳者は誰もいないという状況でした。
加えて、迅速なサービスを提供するために、毎月150から200件ほどのプロジェクトに対応する必要がありました。当時の状況では、お客様の要望の6割ほどしか、翻訳処理ができていませんでした。
このようなお客様のご要望にお応えするためのプロジェクト体制をつくることから着手しました。
翻訳が多方面の分野にわたり、高度な知識が必要とされる点に関して、SME(Subject Mater Expert=分野専門家)担当者をプロジェクトに置きました。SMEは自動車専門誌の編集経験がある者と自動車工学を学び自動車メーカに勤務経験のある者が担当することとしました。そして翻訳者が提出する文章とSMEのチェックを総合的に判断し、十印として翻訳知識を蓄積するために、三名の翻訳品質管理者もプロジェクトチームに組み入れました。
翻訳者への翻訳支援ツールの使用技術については、事前に数度トレーニングを実施し、また適宜、社内の技術支援チームからアドバイスをすることで、使用知識および経験を蓄積し、事前検証を行いプロジェクトにのぞみました。
頻繁なご発注の対応については、ヨーロッパの十印の拠点と日本のプロジェクトマネージャが連携し、お客様にとって時差が感じられないよう、ご発注にたいして即座に返答できる体制をつくりあげました。
このようにして、お客様のご要望を事前に分析し、それぞれに対応する体制を、プロジェクトマネージャ中心に構築していくことで、お客様のご期待以上の成果をあげ、ドイツ語から韓国語、ドイツ語から中国語のお引き合いも頂くようになりました。